回転楕円体周りのはく離流れと渦構造の数値解析

摘要

船舶や航空機，自動車などの輸送機械周りの流れは高レイノルズ数流れであり，物体表面から大規模なはく離流が発生することが多い．このようなはく離流が発生すると抵抗が変化し，推進性能や操縦性能に大きな影響を与えるため，はく離位置やはく離形態を精確に予測することは工学的に重要な課題となる．はく離流に関する研究は実験的·数値的に数多くの研究がなされているが，角柱などの鋭い角を有する物体周りと，船体形状のような鈍い物体周りとでははく離流の性質が大きく異なっていると考えられる．鈍い物体の例の一つとして，長軸と短軸の長さ比が6:1 となる回転楕円体(prolate spheroid) に対し，実験的·数値的研究が数多くなされている(例えばSimposon(2000) など)．この回転楕円体は極めて単純な形状であるが，迎角を与えると三次元はく離が発生し，船の斜航状態に似たはく離流を得ることができる．本研究では，この回転楕円体周りの流れに対し，非定常な流れ場を解くことができるLarge-eddy Simulation(LES) を用い，小迎角の楕円体周りに発生する渦構造の解析を行い、はく離流に対するLES の予測精度を検証することを目的とする．