研削液に超音波振動エネルギを重畳した研削加工－第1報 純チタン材における加工特性改善

摘要

研削加工において，研削液を用いる目的は，1)研削切りくずの排出による砥石の目づまり抑制，2)研削点の摩擦抵抗低減，3) 研削点の温度上昇抑制であり，砥石の研削特性および加工面性状を向上させる．しかし，高能率研削，クリープフィード研削，微粒砥石による研削，および切りくずが切刃に溶着しやすい材料の研削の場合，特に砥石の目づまりが大きな問題となる．例えば，アルミニウムの研削加工においては，目づまりによって研削抵抗が3～4倍程度に増大することが知られている．砥石の目詰まりを抑制する方法として，放電や電解などで砥石をドレッシングする技術があるが，導電性を有する結合剤の砥石にしか適用できないなど制約が多い．また，超音波振動する研削砥石による加工は，目づまり抑制効果が直接的であるが，高速回転運動するスピンドルに超音波振動する機構を組み込むための工夫が必要4）である．一方，研削液に超音波振動を重畳する方法が提案され，目づまり抑制作用および表面粗さの改善効果について論じられている．これまでに，研削液に超音波振動を重畳する簡易なエフェクタを製作し，Al材やSUS材と言った目詰まりしやすい材料において，研削抵抗の低減，表面粗さの向上効果を確認している．本研究では，純Ti材の研削加工に超音波振動を重畳した研削液の使用を試みたので報告する．