低熱膨張型基準器の持ち回りによる座標測定機の性能検査（基準器の材質の違いによる座標測定の不確かさ比較検証）

摘要

JIS B 7440-2:2003 は座標測定機（以下，CMM という）の寸法測定における受入検査，定期検査及び中間点検の指針を定めており，受入検査，定期検査では基準器に端度器を使用してCMM の測定性能を数値化する．一方，中間点検は定期検査の合間に使用者が独自に行う日常点検であり，CMM の日常使用における測定信頼性を継続的に保証するための行為である．しかし，中間点検で使用する基準器は使用者が独自で選定することをJIS 規格では推奨していることから，使用者は中間点検で使用した基準器の特徴を独自で把握しておく必要がある．つまり，基準器の筺体及び測定要素が有する形状や材質等により測定値の不確かさが異なることが明白であり，そこで使用する基準器の特性を使用者が理解しておく必要がある．この度，東北6 県公設試の共同実験として低熱膨張材と炭素工具鋼の二つの異なる材質の基準器を使用した持ち回りによるCMM の性能検査を実施した．この共同実験を通して中間点検で使用する基準器が具備する特性について検証したので報告する．