接触面剛性を考慮した三次元有限要素法による切削加工の振動解析－工具固有振動数へ及ぼす工具締付けボルト締付け力の影響

摘要

旋盤などの切削加工において工具のびびり現象は加工精度の著しい低下につながる．そのため，びびり現象を解明するためには，工具の固有振動数を知る必要があるが，現象を詳細に評価するためには，工具，工具刃物台から構成される振動問題として扱わなければならない．その際，工具を工具刃物台に固定する力により変化する接触面剛性は，工具の固有振動数に影響すると考えられるが，接触面を構成する部材の表面あらさ，接触面面圧に起因する接触面剛性の影響を考慮して工具の固有振動数を求める手法が確立しているとは言えない．そこで本研究では，接触面を構成する部材の接触面剛性を一次元非線形ばね要素で表し，汎用有限要素解析コードに組み込むことにより，要素の剛性が構造物の固有振動数に及ぼす影響を調べるとともに，固有振動数の大きさを高い精度で効率的に評価できる手法を確立する．さらに，その手法を接触面剛性を考慮した工具，工具刃物台からなる振動系モデルにおいて固有振動数，固有モードを求めることにより，びびり現象に対する基礎的な知見を得ることを目的とする．