ライフサイクルシミュレーションを用いた生産システムのトータルパフォーマンス分析

摘要

生産システムのライフサイクル設計は，その性能を維持·向上し，ライフサイクル全体でコスト·環境負荷を低減させるために，システム要素の属性や検査·修理·交換などのサービス提供過程を決定することである．このために，システム要素の劣化現象およびサービス提供による回復過程を様々な角度から設計段階で予測し，その結果をライフサイクルの性能評価へ反映させ、設計解を検討する必要がある．本稿では，生産システムのライフサイクル設計手法の一つとして，トータルパフォーマンス指標(Total Performance Indicator: TPI）を用いたライフサイクル分析手法(Total Performance Analysis: TPA）にライフサイクルシミュレーション(Life Cycle Simulation: LCS)を組み込hだ手法を提案する．TPA およびLCS は，ライフサイクル設計のためにこれまで研究されてきた技術であるので，これらの詳細に関する説明·議論は本稿では行わない。本稿ではまず，生産システムのライフサイクル内に提供される主要なサービス（システム検査，部品の修理·交換など）がシステムの性能に著しく影響を与える場合に， TPA のみではそれを評価することが困難であることを示す．この端的な理由は， TPA がシステムの複雑な状態変化を扱えないからである．本稿では，この困難を克服するためにLCS をTPA に導入する方法を提案する．具体的には，生産システムとサービスのモデルと，その内部に必要とされる手続きの概観を紹介する．