MCF(磁気混合流体)ホイールを用いた石英ガラスの研磨に関する研究―磁場解析に基づく最適ホイール構造の検討

摘要

石英ガラスは高い透過性や優れた化学的安定性を有しており，光学·理化学部品，液晶パネル，光ファイバなどに広く利用されている．従来，石英ガラスの高精度加工としてラッピング等の遊離砥粒加工が用いられているが，加工能率の点で課題を残す．一方，研削等の固定砥粒加工では高能率が期待できるが，材料の割れや加工変質層の生成が問題となる．このように，石英ガラス製デバイスの加工製作においては高能率と高精度がトレードオフ関係にあり，これを解決できる新たな加工方法の開発が強く求められている．著者らは，砥粒の挙動を磁場で間接的に制御できる磁気混合流体(MCF)を利用した超精密研磨の可能性について検討している．本研究では，先の研究で提案したMCF による水晶ウェハーの薄片化加工法2)に基づき，MCF スラリーを円環型永久磁石外周面に付加させた「MCF ホイール」による高能率研磨法の開発を試みている．特に，永久磁石が形成する磁場の磁束分布と密度をシミュレーション解析し，最適なホイール構造について明らかにした．さらに，解析結果に基づいて製作したMCF ホイールによる石英ガラスの研磨実験を行い，高能率研磨の可能性について検討したので報告する．