確率共鳴を利用した光干渉計によるマイクロ流れの微小屈折率変化の可視化（第1報）－光散乱を用いた微小屈折率変化計測原理の検証

摘要

近年、μ-TAS（マイクロ総合分析システム）をはじめ、微小流路（マイクロチャンネル）を用いた流体操作の研究が盛hに行われ、医療診断や食品管理、生化学分析などにおいての貢献が大いに期待されている．しかし、流れの観測においては数百μm以下の流路幅によるサイズ効果があるため従来計測方法の適用が困難となった．本研究では、マイクロチャンネル内の流れを観測するために光干渉計を用いて流れ場の屈折率変化を計測する手法を提案している．課題として光干渉計が周囲環境によるゆらぎに敏感に影響される問題とマイクロ流れ場内の温度や濃度などの微小な変化による屈折率変化の観測の必要がある．これらの課題に対して提案手法は確率共鳴と呼ばれるノイズにより検出器の閾値以下の微小信号が検出される現象に基づいて解決する．本報では、微小屈折率変化による光干渉計のCCDカメラの1グレースケールに埋もれたほど小さい干渉強度の確率共鳴に基づいた計測方法を示す．さらに、マイケルソン干渉計を用いて計測原理の実現性の検証実験を行ったためその結果を報告する．検証実験では、屈折率変化が生じた試料液の代わりに干渉計内の光路差をピエゾステージによって微小変化を与えた．生じる干渉強度変化をシリカ微粒子溶液からの散乱光をCCDに照射することによって検出された．