格子投影法へ2ステップフーリエ変換法を適用した変形計測

摘要

干渉計で得られる干渉縞や格子投影によって得られる格子パターンから位相情報を算出する方法には，位相シフト法やフーリエ変換法がある．フーリエ変換法は，1枚の縞パターンで解析が行える点で優れており，高速現象の計測に利用されている．しかしながら，縞パターンのキャリア周波数とノイズの周波数が近接している場合，通常のフィルタリング手法であるバンドパスフィルタ等ではノイズが除去できない．一方，これまでに，キャリア周波数がわずかに異なる2枚の縞パターンをフーリエ変換し，そのスペクトルの差分を計算することで，ノイズ成分を除去する2ステップフーリエ変換法の原理を提案している．本手法では，前述のノイズとキャリアパターンの周波数が近接しているような場合でも，ノイズのみを除去することが可能であり，シミュレーションと簡単な実験によって，その有効性を確認している．しかしながら，キャリア周波数がわずかに異なる2枚の縞パターンのスペクトルの差分を求めることが，うなりを求めていることと等価であることから，解析結果に位相の反転問題が生じていた．そこで，本研究では，位相の反転問題を解決する方法を提案し，変形する物体の形状計測を行ったので，その結果について報告する．