小径内面の超音波援用精密研削に関する研究－小径超砥粒ホイールのツルーイング·ドレッシングについて

摘要

近年，環境保護の観点からディーゼルエンジンの注目度が増している．ディーゼルエンジンはその燃焼原理上，ガソリンエンジンと比較し熱効率が良く，また既存のインフラ設備が使用可能なことから次世代の自動車パワートレインの担い役として期待されている．しかし，年々厳しくなる自動車排ガスの規制やCO_2排出抑制への要求に応えるため，粒子状物質（PM: Particulate Matter）の削減や燃費性能の向上が求められている．これらに対応するため，技術的に燃料噴射の高圧化を実現しなければならず，直径数mm程度の燃料噴射装置ノズル内面を極めて高い精度で加工製作する必要がある．通常，小径内面の精密加工においては小径ホイールによる内面研削を行う．このときホイール直径が制限されるため，ホイール周速及び支持剛性を考慮して一般的に数万～十数万rpmの高速スピンドルを用いる．しかし，このような高速スピンドルは，高速回転による振動や軸受部の発熱などの問題が生じ，スピンドル性能の発揮を抑制するため，更なる高精度化が困難である．このような状況下において，加工特性が要求値を満たす前提でスピンドル回転数の低速化が強く求められている．そこで本研究では，ホイール回転数が低くても高性能な小径内面研削が行なえるようにホイールを軸方向に超音波微振動させる超音波援用内面研削を試み，これまでに超音波スピンドルを備えた平面研削実験装置を試作して基礎加工特性を調べた結果，超音波を援用することで低速回転のスピンドルを用いて加工特性を向上させることに成功した．本報では，超砥粒ホイールを用いた超音波援用研削が効果的に行なわれるようなツルーイング·ドレッシング条件を探るために進めていた実験結果を報告する．