注射針穿刺時に生じる痛みの客観的評価手法の確立

摘要

現在，注射針を穿刺することにより痛みが生じ患者に大きな負担となっている．著者らは，注射針穿刺時の患者の痛み軽減を考慮し，自然界にて低侵襲での穿刺および血液吸引を実現している雌蚊内唇の超極細針と同程度のチタン製マイクロ無痛針の創製に成功した．しかし，注射針外径減少により痛みは軽減可能であるが外径縮小に伴う内径減少による注射針管内圧力損失の増大，針の剛性·靭性の低下を伴うことが推測される．また，注射針の内径が吸引量，吸引時間に大きく寄与することを確認しているため，痛みが許容される針外径を求めた上で針内径を可能な限り拡大する必要がある．よって，本研究では痛みに対する最大許容外径の決定を行うと同時に穿刺に耐え得る強度を有し，管内摩擦による吸引機構への負荷を軽減させる寸法を有するマイクロ無痛針の設計および開発を目的とする．現在，注射針穿刺時に生じる痛みの客観的評価手法の確立を行うため，注射針穿刺時に生ずるストレス起因とした唾液中α-アミラーゼ量をマウスの唾液を用いて測定を行っている．しかし，マウスの唾液量が微量で粘度が高く採取した唾液量にバラツキが生じるため実験結果の精度の向上が課題である．そこで，採取した唾液量が均一になるように測定を行い，血中α-アミラーゼ量測定試薬(以下血液用試薬)を用いてコントロール群と穿刺直後の群との比較をし，注射針穿刺時に生じる痛みの客観的評価手法の確立を行う．