最新5軸マシニングセンタによる高能率、高速高精度加工の動向

摘要

近年、工作機械メーカー各社は、５軸マシニングセンタの開発に力を入れている。しかし、5軸マシニングセンタは新しく開発された機械ではなく、30年以上前から存在し、3軸立形+傾斜円テーブル、4軸横形+円テーブルの軸構成であった。当時、同時5軸加工は航空機部品、ジェットエンジン部品を加工する特別な機械として位置づけられ、プログラム作成にも高価な5軸CAM（Computer Aided Manufacturing）を搭載したワークステーションが必要となり、一部の大企業の加工部門でしか使用されていなかった。1990年代に入り当社では、ワンチャッキングによる多面加工と長時間無人運転という新しいコンセプトで同時5軸立形マシニングセンタMAM72－S40を開発した。MAM72－S40は、コンセプトと共にユーザーに支持され、現在はMAM72－3シリーズとして生産を継続しているヒット商品となった。2000年代に入り、パソコンの驚異的な進化と共にCAMの価格も下がり、小企業でも5軸CAMを容易に設備できるようになった。NC装置メーカーは、同時5軸専用の制御機能を開発し、段取り、プログラム作成工数を削減できるようになった。また、この時期、アメリカ、ヨーロッパの航空機メーカー各社は、保守部品の調達を日本に求め、大手企業が受注し中小加工業者に仕事が流れるようになった。これが、5軸マシニングセンタ普及の起爆剤になったと言える。次に最新5軸マシニングセンタの動向を紹介する。