IBF による光学素子の加工 第1報－高精度な形状修正加工

摘要

従来の一般的なミラーやレンズなどの光学素子の最終加工には研磨等の機械加工技術が用いられてきたが、EUVL 素子では形状精度と表面粗さ等すべての空間波長帯域においてかつてない高精度な品質を要求されているので、制御因子が多い研磨加工では形状仕上げと表面粗さの両立を目指すと加工の繰り返し数が増大する可能性がある。これは一般的に短い空間波長まで形状修正を行うには接触面積が小さな研磨工具が必要であるのに対し、表面粗さを超平滑にするには接触面積の大きな研磨工具が必要になる等、相反する因子の両立が難しいことによる。そこで、上記の課題を解決するために小径のビームで加工しても表面粗さの変化を小さく抑えて形状修正を行える可能性が高い「イオンビームスパッタプロセス」を形状修正加工のツールとして使用するIBF（Ion Beam Figuring）の研究を進めている。すでに、筆者らにより低熱膨張ガラスのIBF 加工前後での表面粗さの変化については調べられている。本報では希ガスイオンビームを用いたIBF 装置の高精度な形状修正加工の検討について報告する。