ディーゼルエンジン用ノズルの微細深孔加工(第2報)―微細深孔ドリルに対するシンニングの効果

摘要

近年，ディーゼルエンジンにおいては，NO_x やCO_2を削減し，燃費の大幅向上を求める燃料高圧噴射の技術革新（コモンレール方式など）が進hでいる．乗用車·トラックでは既に実用化されているが，2004 年秋より，船舶用ディーゼルエンジンにも排ガス規制が施行され，今後も規制の強化が予想されることから，船舶用ディーゼルエンジンにも同方式を適用する必要性が高まってきている．燃料噴射を高圧にすると，ノズル径を絞る必要があり，このため燃料噴射孔は微細化·深孔化することになる．また，船舶の場合，エンジンは航海中，長時間の高負荷(最高出力の85%位)連続運転を強いられるため，材料には耐熱·耐摩耗性に優れたステライトが用いられている．ステライトは高硬度でさらに引張強度も有する．図1 に示すように，ドリル加工時の切削動力は他の難削材と比べても大きく，加工難易度の高い材料である．