エネルギーフローのネットワークモデルとその分散的最適運用のための市場ネットワークモデル

摘要

深刻なエネルギー問題解決のために，都市や地域において異種のエネルギーを融通し合って，エネルギー需要を満たすと同時に，総合的に最適運用するようにエネルギーの運用の計画や制御をおこなう「スマートシティ」ないしは「スマートコミュニティ」の構想が実システムとして構築され，試験的に運用され始めている．こうした動向を受けて，電気学会における分野横断型の研究調査活動として進められている「スマートコミュニティ実現検討特別研究グループ」の活動方針や目的について概観した企画として，電気学会電子·情報·システム部門主催による第23回インテリジェント·システム·シンポジウム（FANシンポジウム）において，「スマートコミュニティのモデリング」と題するセッションが企画された．本シンポジウムでは，そこで発表したスマートコミュニティにおけるエネルギーフローのモデルの一つとして，電気とガスをエネルギー源として，直接それらの需要を満たすように供給しつつ，それら以外にも蒸気と冷温熱の需要を満たすようにエネルギー変換をおこなうモデルを提示する．このモデルの特徴は，互いに異なるエネルギーに関する複数のネットワークが，それらの間の変換器を介して接続し合っていることであり，同一種類のエネルギーフローである部分ネットワークを「ネットワーク圏（network category）」と称することにし，こうした複数のネットワーク圏からなるエネルギーフローの全体を最適化する問題を考える．