従来より配電系統では，配電用変電所 2 次側の送り出し電圧を負荷の状態に応じて調整する LDC（Line Drop Compensation）論理付きの負荷時タップ切替器付変圧器（LRT：Load Ratio control Transformer）や自動電圧調整器（SVR：Step Voltage Regulator）を利用した電圧管理が広く行われてきた。しかし，大量の太陽光発電（PV）が連系された配電系統においては，その出力変動に応じて系統内での潮流分布が従来よりも大きく変化するため，LDC 論理で用いられる整定値の調整には更なる改善の余地があると考えられる。一方で，今後配電系統内に設置されている区分開閉器が順次センサ付区分開閉器へと更新されることが期待されるが，この計測情報は整定値の調整に有効に活用できる可能性がある。例えば文献（2）においては，この計測情報を活用して配電用変電所からの送り出し点における電圧および電流値と，配電系統内の電圧分布との相関性を分析することで，多様な電力潮流状態に柔軟に対応できる整定値を導出する手法が提案されている。同様に，電力潮流状態の変化に合わせて適応的に整定値を自動調整することも，制御性能を向上させるために効果的なアプローチであると考えられる。そこで本稿では，PV の連系点が配電系統内で偏りを持って分布している状況では，PV 出力変動が電圧分布に及ぼす影響は負荷変動によるものとは異なることに着目し，2 種類の整定値を切り替える手法を検討した。具体的には，負荷のみが存在する場合，ならびにPV 出力の影響が支配的となる場合の望ましい整定値を個別に導出すると共に，電圧制御機器を通過する電流の大きさの観点から PV 出力の状況を推定し，これに適した整定値を選択する手法を提案した。
展开▼
