鉄道·旅客輸送分野におけるリニアドライブ技術の現状

摘要

リニアモータの特長は，直接並進力を発生することができるため，駆動機構の部品点数を削減し，信頼性や保守性の向上につなげることができる．この一般産業応用上の利点に加え，鉄道システムにおいては，加減速性能の本質的制約となる，鉄車輪·鉄レールの粘着問題から自由な堆進，制動系を設計できるという長所がある．一方で，その駆動制御のためにはパワーエレクトロニクスの発達が不可欠であったため，1873年に始まる電気鉄道の歴史の中ではその実用化に向けた歴史は比較的浅く，実際の応用が進hだのは1980年代以降の30年のことと考えてよい．本稿では，鉄道車柄やホーム柵のドア駆動用および磁気浮上や鋼索などの特殊鉄道分野を中心にリニアモータ技術のこれまでの応用の経緯を概観する．