技術者倫理検討委員会の概要について

摘要

少し前までは我が国では倫理学は大学でも文学部哲学科の一分野で扱われるにとどまり、理科系の学生や技術者にとっては遠い世界であったが、昨今は我々技術者も倫理無しにすまなくなっている。実際今は「倫理」や「応用倫理学」という言葉が世の中に氾濫している。これにはいろいろな理由が挙げられるが、このところ様々な企業不祥事が頻発し、程度の差はあれ技術ないし技術者のあり方が世の中から大きく問われるようになっていることが挙げられる。我々技術者にとっても扱い方を誤るとそれまでの多年の技術的な苦労も水の泡となりかねないことから事は重大である。このような情勢を背景に昨年５月電気学会に技術者倫理検討委員会が設置されるに至り当面２年間を目途に活動を開始した。後に明らかになるように技術倫理ないし技術者倫理の問題は経常的にレビューする必要があるのでその後も何らかの形で委員会活動を続ける予定であるが、本日のシンポジウムではこの委員会の活動を中心に現況を報告すると共に今後取り組むべき問題について会員諸子と活発な意見交換を行いたい。