わが国における太陽光発電に対する助成の費用対効果の推定

摘要

「2030年のエネルギー需給展望」では，わが国における太陽光発電の2010年の導入設備容量の見通しを現行対策推進ケース4.82GW，118万klとするとともに，2030年の導入可能量を新エネ進展ケース2024万klとしている。これは太陽光発電協会(JPEA)による「太陽光発電産業ビジョン」での目標である2030年82.82GWに基づいている。また，新エネルギー·産業技術総合開発機構(NEDO)は，これとは別に「2030年に向けた太陽光発電ロードマップ(PV2030)」を作成しており，2030年の導入可能量を標準ケース101.90GWとしている。一方，太陽光発電に対する助成としては，新エネルギー財団(NEF)による「住宅用太陽光発電導入促進事業」，NEDOによる「太陽光発電フィールドテスト事業」，および「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(RPS)の枠組みに基づく，電力会社による余剰電力購入がある。助成金の効果的かつ効率的な配分は重要であるが，太陽光発電に対する助成金の分析·検証に関する研究は，文献など極めて少ない。以上の背景から，本稿では，太陽光発電に対する助成の費用対効果を推定することを目的とする。