直流電気鉄道へのエネルギー蓄積素子導入の検討―高速回生能力向上及び回生失効対策を考慮した車両システムの概要設計

摘要

近年摩擦ブレーキの使用軽減，エネルギーコストの軽減などから鉄道のブレーキ方式は電空併用ブレーキから純電気ブレーキへと徐々に移り変わっている。その第一ステップとして，現在では完全に停止するまで電気ブレーキを使用することが実現化されている。しかし回生失効，高速時に強いブレーキ力が出せないなどの問題がまだ残っている。そこで純電気ブレーキの第二ステップとしてモータの過電圧耐量の活用及びエネルギー蓄積素子の導入によって高速回生能力向上及び回生失効の軽減の検討が行われている。本研究はその高速回生能力向上及び回生失効の軽減等の要求性能から，複数のインバータとエネルギー蓄積素子を組み合わせたシステムの設計論であり，本稿ではその第三報として，列車の要求性能とシステムの概略設計の関係から,回生失効により電車線が従来並みの回生電力を受け入れない状況を想定し,高速回生能力向上と回生失効対策を考慮したシステムの概略設計を検討する。