多地点同期位相計測装置を用いた電力系統広域安定度の観測

摘要

現在、日本の電力系統は、静岡県の佐久間周波数変換所と長野県の新信濃変電所を境に、西日本60Hz系統は主要な6電力会社が連系して構成され、北海道電力を除く東日本50Hz系統は2電力会社が連系して構成されている。日本各地の大学に位相計測装置(PMU)を設置しており、2005年8月16日に発生した宮城県沖地震において、西日本60Hz系統への影響を確認できたので報告する。一方、西日本60Hz系統は、長距離くし形系統を構成しており、くし形系統で発生する最も周期が長い第1モード(長周期動揺)と、次に周期が長い第2モードが顕著に現れる。そこで、第1モードと第2モード間には、相互作用が働くモデルであることを考慮した2自由度系振動モデルを構築してきた。本論文では、位相計測装置(PMU)から得られた定常時の位相データを用いて、電力動揺の特性係数を導出することで系統の安定度を監視する方法について述べ、特性係数長期的な推移を見てその有用性を確認する。