ミニチュアクリープ試験と簡易解析による長期使用ボイラチューブの内圧クリープ破断寿命評価

摘要

1970年代中頃，ある火力発電所でベースロード運用中のボイラ過熱器管の総取替えの要否を巡り，メーカーとユーザーの間で激論が交わされた．当時の取替え判断は当該部材の材料規格値割れを目安としていたが，議論の結果，主たる損傷要因であるクリープに対する余寿命評価を行い判断すべきとの合意に至った．その後，火力発電の設備診断において余寿命評価という考え方が定着し，国プロ「設備診断技術実証試験」（1988～1998）を経て，1999年3月にボイラの管寄·大径管を対象とした国の「余寿命診断に関する指針Jが制定された．さらに，2017年4月には火力発電設備の定期検査時期を6年まで延長できる新たな「定期安全管理検査制度」が施行されたが，同指針はそのまま新制度の中に継承されている．