シリコーンゴムの放射線劣化機構に及ぼす劣化条件の影響

摘要

シリコーンゴム（SiR)は，優れた耐熱性や電気絶縁性を有しており，原子力発電所などでも電力ケーブルの絶縁体として用いられている。原子力発電所の安全性向上のために，SiRの劣化機構の解明は重要である。周波数0.1～10THzの電波と光の中間領域に位置するテラヘルツ（THz)波は赤外光に比べて透過性が高く，分子間相互作用や格子振動など物質の高次構造に関する吸収を観測できることから，高分子材料の新たな分析技術になり得る可能性がある。本稿では，室温放射線劣化および熱·放射線同時劣化SiR に対して，インデンターモジュラス（IM)により機械的特性を評価し，フーリエ変換型中赤外分光（FT-MIR)およびTHz分光の結果と比較することで，SiRの放射線劣化機構に及ぼす劣化条件の影響を検討する。