ペイントシールのき裂現象のメカニズム解明と自動評価システムの開発によるき裂予測技術の確立

摘要

近年，自動車の開発では試作車レス化による短期間での開発が主流となっており，実車評価前におけるき裂予測技術の構築が必要である．ペイントシール（以下シール）は車体構造内への水侵入を防ぎ，かつ防錆機能としても重要な役割を果たしている．開発段階での実車テストにおいて，突起乗り越し時の大入力による変形時や悪路を長時間走行時にシールき裂が発生する場合がある．そしてシールき裂が発生した場合，対策がシートメタルの形状変更に及ぶこともある．シールき裂のメカニズムは全てが把握されているわけではなく，実車評価前でのシールき裂予測が困難である．それに加え，シール塗布範囲は車体全体にわたるため車体全てのシール塗布部位を網羅的に短期間で評価する手法が必要となる．多田氏らはシールの静破壊実機計測や変形モード(Type I-I/Type L-L)と塗布量のシールき裂の影響度について報告している．本稿では塗布量（塗布仕様）やシール材質違いによる変形モード違いを明らかにし，疲労耐久性への影響の研究を基にシールき裂のメカニズムを明らかにした．また，評価手法の構築及び評価システム構築による網羅性向上と評価期間短縮に取り組hだので報告する．