冬季における自動車のドア開閉に伴う暖房負荷の削減 (第二報)－ドアの空気口位置と1way バルブが車室内流れ場と流出熱量に与える影響

摘要

近年，自動車熱源の高効率化に伴い，暖房に利用できる排熱が減少している．そのため，暖房負荷の削減が求められている．また電気自動車の場合はバッテリーを用いて暖房を行うため，暖房を使用することで航続距離が低下してしまう問題を抱えている．それに加え，宅配トラックなどの商用車は乗降頻度が高く，ドアの開閉の度に車室内の熱が流出してしまい，暖房負荷が増加し航続距離のさらなる悪化を招く．そのため，商用車ではドア開閉に伴い流出する熱量を削減することが重要である．前報ではドア開閉に伴う暖房負荷削減手法提案の第一段階として，様々なドア開閉条件での解析を行い，ドアの開閉に伴い空気及び熱が流出する主要因を明らかにした．具体的にはドア開閉の動きそれ自体よりも車内外の温度差に起因する浮力による熱の輸送が支配的であった．その結果から，熱流出削減のためには浮力による空気の流れを抑えることが必要であると提言した．本報では第二段階としてドアの開閉に伴う暖房負荷削減手法を提案する．具体的には車体にある空気口の高さや1way バルブの有無によって空気の流れ及び流出熱量が変化する程度について議論した．そして，ドア開閉に伴う熱負荷削減への効果を明らかにしたので報告する．