浮動ライナー法によるピストン摩擦力の計測精度向上に関する研究（第1報）（シリンダー内ガスシール方式と摩擦力波形の検討）

摘要

益々強化される燃費規制に対応するために，内燃機関の熱効率向上はより一層求められており，冷却損失，排気損失の低減と共に機械摩擦損失の低減も求められている．この内，ピストン-シリンダー系の摩擦低減による効果は大きく，この効果の評価法としてモータリング分解法や指圧線図法（ファイヤリング法）に加えて浮動ライナー法がある．浮動ライナー法は他の方法に比べてエンジンの大きな改造を必要とするため多気筒エンジンへの応用が難しいが，各行程におけるクランク角度毎の摩擦力を計測することができ，ピストン／ピストンリングとシリンダーライナー間の瞬時の摩擦特性の把握が可能となる．この浮動ライナー装置には摩擦力を計測するセンサの種類や設置方法及び装置の構造により様々な方式の装置が存在する．また，計測値の処理の方法によっては，同じ低摩擦要素の評価でも摩擦力波形の特性が異なる可能性もある．本報告では浮動ライナーの主要な装置構造について説明し，装置独自のシリンダー内圧力のシール部の構造等の違いが装置の組み立て性や摩擦力計測値及び摩擦平均有効圧力の違い等を調べたので波形の特徴等と合わせ紹介する．