HVインバータ用IPMにおけるSn-Cu系はhだ合金の高温変形挙動に関する研究

摘要

近年，欧州ELV指令をはじめとした，国際的な環境負荷物質規制が進められており，車載用電子部品に使用されている鉛はhだについても，鉛フリー化が進められてきた．また，現時点では，法規の適用除外対象となっている高温鉛はhだについても，定期的に適用除外の見直しが実施されており，将来的な法規の適用を見据えて，高温鉛はhだ代替材の開発が進められている．しかし，車載用途に耐えうる高温鉛はhだ代替材の開発は，末だ，なされていない．その為，当面は，鉛フリー化の主流として広く用いられている，Sn系鉛フリーはhだ合金の使用が継続されることが想定され，その特性を良く知り，有効活用することが必要となってくる．一方で，Sn系鉛フリーはhだ合金を接合材として使用しているパワー半導体モジュールなどの半導体部品については，次世代半導体の採用を見据えて，更なる小型化のニーズが強まっており，発熱密度の上昇が避けられない状況にある．その為，更なる信頼性の向上を目指し，冷却性能の向上と共に，接合材そのものの耐熱性向上が求められている．しかし，現在，広く用いられているSn系鉛フリーはhだ合金については，Sn-Pb共晶組成（Sn－37wt%Pb）の代替を最優先とし，製造プロセスへの影響も踏まえて，融点に着目した合金設計がされており，機械的強度の耐熱性向上については，十分に検討されているとは言いがたい．そこで，本研究では，現在，車載用電子部品の接合材として広く用いられているSn系鉛フリーはhだ合金である，Sn-Ag-Cu系はhだ合金とSn-Cu系はhだ合金のうち，比較的，融点が高く，耐熱性に優れるとされるSn-Cu 系はhだ合金を用いて，様々な条件下での引張試験を実施し，その結果から，高温変形挙動に関する考察を行った．