ドライビングシミュレータによるドライバ状態に応じた効果的な運転支援に関する研究

摘要

近年，日本国内の交通事故による死亡者数は減少傾向にあるが，法令達反別（第1当事者）にみると漫然運転や脇見運転など運転に対する注意力低下による死亡事故の割合は増加傾向にある．また，北米では路外逸脱事故の約2割が居眠りや注意散漫などが要因であるとのNHTSAの報告もあり，注意力低下時の対応システムの開発が望まれる．覚醒度低下検知技術や検知後のドライバへのフィードバック技術（警報など）に関する研究は種々報告されている.覚醒度低下時の前方衝突警報（Forward Collision Warning System，以下，FCWと略す）や車線逸脱警報（Lane Departure Warning System，以下，LDW）の最適化を目的とした警報反応時間などによる効果評価が報告されている．若杉らの報告では，FCWの響報タイミングを2種類用いて反応時間との関係について実験的に調査している．しかしながら，警報タイミングや音量など警報のパラメータを変更しての運転行動指標や主観指標による効果評価が発表された例は少ない．本研究では覚醒度低下に起因する注意力低下状態時のFCW，LDWの警報効果を評価するためのドライビングシミュレータを用いた実験方法を構築し，警報タイミングや警報音量をパラメータとして警報の効果評価を実施した．