ベンチレーションシートの温熱快適性定量評価手法に関する考察

摘要

近年，自動車の車室内温熱快適性を向上する空調装置に対し，省エネルギー化の取り組みが盛hに行われている．その省動力·省電力化の要求は，国際的な車両燃費·排気の評価手順であるWLTPでエアコン作動時の燃費を評価し，それをカタログ表示する動きもあり，空調装置の技術開発のために車室内温熱快適性の定量的な測定方法の提案が求められている．車室内の温熱快適性向上に関しては，一例としてベンチレーションシートの採用が挙げられ，その快適性に対する有効性も報告されている．ただし現在，温熱快適性を評価する温冷感の測定は車室内の周囲温度および湿度の測定と，被験者による官能評価が主流である．その課題としては，個人差や体調による評価のばらつきが大きいこと，複数の部位の温冷感を同時に申告しなければならないため測定結果が定性的となることなどである．著者らは熱流束計と熱電対とを表面に取り付けたサーマルマネキンをベンチレーションシートに着座させ，定量的に等価温度を測定する方法を提案しているが，現時点では温冷感評価手法の確立までには至っていない．そこで今回，ベンチレーションシートに着座した状態で温冷感を定量的に評価する手法として，着座状態での温冷感評価に適した形状のサーマルマネキンを用い，ISO14505-2に記載されている等価温度と温冷感の関係に則りサーマルマネキンの温冷感評価を行い，その結果の妥当性を被験者の温冷感測定結果と比較することにより考察した．