隊列走行システムの合流部における周辺ドライバへの受容性と安全性に関する一検討

摘要

物流産業における省エネルギー，環境対策，ドライバ不足への懸念に対する対策として，自動運転システムの活用が注目されている．日本では，CACC (Cooperative Adaptive Cruise Control)の実用化に向け，新エネルギー·産業技術総合開発機構(NEDO)の「エネルギーITS推進事業」にて，図1に示すようなトラックの自動運転·隊列走行システムが研究開発され，実証実験による有効性の検証が行われた．これらの隊列走行システムの研究開発では，有人トラックを想定していたが，先頭車のみ有人の隊列走行システムの実現も検討されており，先行研究では，先頭車のドライバが隊列全体をコントロールする際における安全確保の観点から，ドライバへ提示する情報と提示方法などについて検討されている．しかし，隊列走行システムの実用化のためには，隊列トラックの技術的な側面や隊列ドライバへの支援のみならず，周辺一般車両に対する受容性の評価や受容性の向上に必要な情報提示·情報提示方法の検討も重要であると考えられる．先行研究では，エコシステムを考慮した社会受容性や，車外HMIによる周辺一般車両への影響について検討されている．しかし，隊列走行システムの仕様以外にも，周辺環境の道路仕様や表示など，インフラ側の要素に関する検討が必要であると考えられる．そこで本研究では，隊列走行トラックの社会受容性の向上を目的とし，周辺一般車両に対する受容性と安全性確保が必要と考えられる合流部に注目し，隊列走行トラック側の仕様に関する要素と合流部における注意喚起表示，合流部の長さなどインフラ側の要素に関し，周辺一般車両の挙動および周辺一般車両ドライバの受容性との関連性について検討する．