高速道路上で自動運転システムを使用中の安全な運転操作引継ぎに関する実験的研究－運転操作を引き継いだ直後に危険事象に遭遇した場合

摘要

自動運転の導入により期待される効果の一つに交通事故の削減がある.特に超高齢化社会を迎える中，世界一安全な道路交通社会を目指す我が国にとって，関連技術の開発やその普及に向けた環境整備は極めて重要である.国連における自動運転の基準作りでは，現在、自動運転の共通定義·サイバーセキュリティ及び自動命令型操舵機能(Automatically Commanded Steering Function，以下，ACSFとする）等に関して審議が行われているが，今後はACSFカテゴリB2 (高速道路における自動車線維持)を始め，SAE J3016のレベル3以上の自動運転に対する技術要件や認証方法の策定等に向けた審議が行われる予定である.本研究では，DSを用いて，高速道路でレベル3の自動運転を使用中に，運転引継ぎ要請(Take Over Request，以下TOR) が提示され，ドライバが運転操作を引き継ぐまでの行動及び運転操作を引継いでからごく短時間のうちに他車両に急接近した場合の衝突回避行動について評価する実験を行った.この実験結果から，レベル3の自動運転において，ドライバが運転操作を安全に引継ぐための課題等について考察した.