燃料電池自動車の湿潤制御技術および水素欠乏検知技術の開発

摘要

燃料電池自動車普及の主課題は固体高分子形燃料電池システムの低コスト化と小型化である．その方策として，発電電流の高電流密度化や，燃料電池内部の低湿潤化などによるシステムの簡素化が進められている．自動車用途でこれらの方策を進めるためには，ダイナミックに変動する運転環境（気温や大気圧等）や運転状態（停止や加減速等）への適合や零下起動時の発電生成水の凍結対策が必要となるため，水マネージメント技術の確立が鍵となる．この課題に対して，燃料電池の電解質膜抵抗と含水量との関係を利用し，計測した電解質膜抵抗に基づいて電解質膜の含水量を制御する水マネージメントシステムが開発された．しかし，高電流密度発電と低潤化をさらに進展させるためには，より高精度の制御性能が求められるため，燃料電池への供給空気の流量，冷却水の温度等，様々な感度や応答性を持つ複数の物理量を用いて燃料電池の水収支を高精度に制御する必要がある．そこで，本課題を解決するために新しい湿潤制御技術を考案し，実際に燃料電池システムに組み込hで評価を行ったところ，高い有効性を確認することができたので報告する．