二輪車の試作車体製作における自動溶接条件設定とひずみ予測手法の構築

摘要

二輪車の車体試作において，溶接部の早期設計仕様決定の観点から，量産時に適用可能な溶接条件が求められている．従来，試作の溶接加工は手作業でおこなっており，加工条件である電流と電圧，溶接速度の設定，熱収縮によるひずみ量の見込みは作業者の経験と勘に依存していた．その結果，加工条件設定に個人差が生じていた．したがって，自動溶接を主にしている量産には，試作時の加工条件を反映できなかった．そのため，量産移行時に加工条件を改めて設定する必要があり，非効率的であった．この対応として，量産ラインと同等の自動溶接設備やタクトを取り入れた試作手法を導入した．この手法において，試作時に設定された溶接条件は量産に反映されるため，重要なものとなる．自動溶接の加工条件は，通常，実際の車体部品を用いた溶接テストにより設定される．しかし，一回のテストで条件を設定することは難しく，トライアンドコニラーを要するため，多数の溶接テスト用車体部品の製作とテスト工数が必要となる．本研究は，自動溶接の加工条件設定の効率化を図るために，テストピースによる実験から，各う容接加工条件と品質の相関をデータベース化し，そのデータベースから溶接条件設定とひずみ量の予測を可能とする手法を構築した．