尿素SCRシステムのNO_x浄化率向上に関する研究（第4報）－尿素水の噴射制御ロジックの構築と各種過渡運転への適用

摘要

重量車におけるNO_xの排気後処理技術では，尿素SCRシステム（以下，SCR）が主流となりつつある．SCRの特長は，強制的にSCR触媒を昇温させる制御を行う場合を除けば，NO_xの浄化のために追加的な燃料消費を伴わないことや，燃料中の硫黄分の影響を受けにくいことである．これまでの報告において，排気温度が低温となる運転条件でNG_x浄化率が低下するSCRの弱点を改善する方策とそのメカニズムを考察した．それを受けて本研究では，まずJE05モードに代表される低温過渡条件やWHTC，WHSCモードに含まれる高温過渡条件など実使用過程を想定した運転条件において，高いNO_x浄化率を得る尿素水の噴射制御ロジックを開発する．そのうえで，エンジンアウトのNO_x排出率が新短期規制レベルという比較的高い設定とし燃費性能に重点をおいた場合に，ポスト新長期規制の挑戦目標値(NO_x: 0.23g/Wh）を達成するための後処理技術の方向性を明らかにすることを目的とした．