カム·ローラフォロワ動弁機構の摩擦損失に及ぼすローラ支持軸受やエンジン油性状の影響

摘要

本研究では，既報と同じ実験方法で，V形機関OHVカム·ローラタペット動弁機構摩擦試験機を用い，カム·ローブの表面をショットピーニング加工した複合カム軸を対象に，カム·ローラ間の接触荷重と摩擦力を測定し，ローラ部をすべり軸受またはニードル軸受で支持する場合，かつLow-SAPS対策エンジン油のDH-2級，ZnDTP代替添加剤のZP(Zinc Phosphate)配合あるいはZnDTP無配合の超低硫黄(ULSEO: Ultra Low Sulfur Engine Oil)仕様のSAE5W-20低粘度マルチグレード油を適用する場合について，それぞれが動弁機構各部の摩擦損失に及ぼす影響，すなわちカム·ローラ接触による摩擦損失，それ以外の動弁機構部の駆動に伴う摩擦損失ならびにカム·ローラ接触における摩擦係数の大きさを調べ，動弁系要素とエンジン油性状に関する設計の指針を検討したので，その概要を報告する．