断熱黒鉛型を用いた連続鋳造法による金属間化合物サイズを制御した軽量鍛造ピストン用材料の開発

摘要

A4032に代表される鍛造ピストン材料は熱処理による析出強化機構により強度を確保している．しかし，析出強化では300°Cの温度域では析出化合物の租大化により強度が低下する課題があった．そのため，オイルジェットなどの冷却機構によりピストン頂部の温度低下を図っているが，近年のエンジンの高出力化のためオイルジェットによる冷却は限界があり，ピストン頂部の軽量化を図るためには300°Cの温度域の高強度化が必要であった．今回，アルミニウムマトリックス中に大きさ3-30μmの針状金属間化合物を分散させることで，従来ピストン材料と同等の比重と鍛造性をもちながら高温強度を増加させたアルミニウム鍛造材料の開発により，ピストン質量を低減した．本稿では開発材料の組織制御と強度向上効果，得られた効果について報告する．