宅配用電動バイクのための分散型MPPTシステムの研究

摘要

地球環境問題への対応や，創エネルギー化が求められる現代において，解決策の一つとして挙げられるものが再生可能エネルギーを用いたモビリティの開発である.再生可能エネルギーの一つである太陽光発電を動力源に用いるモビリティは，競技用ソーラーカーなどに限られている.しかし，競技用ソーラーカーは空気抵抗や車重などを追及しているため実用性に乏しい.そこで，現在市販されていて太陽電池を取り付けることのできるスペースが比較的あり，比較的軽量である宅配用バイクHONDA JYRO CANOPYをSolar EVにコンバートして用いることとした.車両後部のデリバリーボックスに太陽電池を取り付けることで，太陽高度が低い冬季や朝晩に垂直面での発電量が多く見込める.しかし，負荷電圧の制限や直列にした際の電流の制限などから単純に電力の総和が得られるわけではない.面方位が異なる太陽電池に集中型MPPTを取り付けると上記の課題を解決することができない.そこで，それぞれの太陽電池にMPPT を取り付け，駆動用バッテリーを充電する分散型システムであれば発電量を多く得られるはずである.本稿では，分散型MPPTシステムにおけるMPPTの接続方式と発電電力量，発電効率について検討した.