コンポジット面で覆われた不透明太陽熱木材乾燥ハウスの考案と実証試験―全ふく射基準にて

摘要

古くは、第1 次オイルショック後、木材で骨格を組み立て、これに透明なカーボネート板を屋根、壁面に張って、内部に大型のファンで空気の集排熱を行う小型の太陽熱セミ·パッシブ利用の装置が北海道林産試験場で開発され、道北、道東の一部で実用化された経緯がある. また農業用ビニールハウスも高温処理後の木材の乾燥に試験的に使用されている(パッシブ利用). さらには、大がかりな乾燥建屋の屋上に強力な集熱ファン付きの大型の空気集熱器(120m~2)を載せ、室内空気の循環用にも多数の大型ファンを備えた木材乾燥装置(11m~3×2 室)の実験もかつて北海道で行われ、本格的なアクティブ乾燥装置の典型として注目され、海外にも進出したが、実用化には至らなかった.こうした太陽熱木材乾燥装置のハード技術としての展開において、その経緯の一部に関わってきた著者らは、装置をあまり大型化せず、また設備機器をあまり多用せずに、ソフト技術に力を入れた装置の開発に取り組hできた. つまりその究極は、完全パッシブ太陽熱材乾燥装置の開発である. そのためには従来技術のよい面を生かして、これに新規の原理や技術を組み合わせて出来上がったのが、「透明断熱/黒体空洞」効果及び「サーモサイホン」原理を利用したソフト技術である. すなわち、3 重透明フィルム(F-クリーン)とCF-シート(炭素繊維シート) からなるコンポジット面で覆われた不透明太陽熱図2 においては、ハウス表面に入射した日射は3 重透明フィルムとCF-シートで構成されるコンポジット面なるゆ木材乾燥ハウスに断熱円筒を付属させた装置であり、これがここで言う、完全パッシブ太陽熱木材乾燥ハウスである.