北方圏住宅向け太陽エネルギー利用システムの開発研究―熱電ハイブリッド屋根面集熱の冬期試験

摘要

住宅·建築分野の温室効果ガス排出量は、3 億8 千万t-CO_2 であり、総排出量のうち、家庭部門が14%、業務その他の部門18%（2010 年度）に相当し、1990 年度と比べて各々31.9%、34.8%増加している。一方、（一社）太陽光発電協会J-PEA によれば、2012 年4月末時点での国内住宅用太陽光発電システムの累計設置件数が100 万件越え、総発電容量は約4GW となり、125 万8 千t-CO_2 オフセットとなるが、これは住宅·建築分野からの排出量の0.3%に相当する。同協会によれば、国内の戸建住宅2,700 万戸のうち設置可能な屋根は、そのうちの1,200 万戸であり、2020 年度には530 万戸への導入を目指すという。また、J-PEA によれば、2013 年9 月末時点の補助金の交付件数は、172,640 件、1 件4.56kW で総計78 万7 千kW であり、前年度より買取価格が下がったものの、その勢いは衰えていない。ところで、太陽光発電だけではその効率が10 数%程度であることから、現在捨てられている90%前後の太陽エネルギーを有効利用して熱電複合利用することはシステムの付加価値を高めることになる。積雪寒冷地では、発電ありきとして、集熱機能を追加するというのが自然と思われる。本報告は、北方圏住宅向けの熱電ハイブリッド屋根による太陽エネルギー利用に関するシステムの概要と冬期試験結果の第一報である。