太陽電池モジュールの互換性に関する検討－アレイ構成,気象条件,PCS の違いが逆電圧発生状況に与える影響

摘要

太陽電池モジュールは，特性が年々向上し，定格値が変更されている．既設アレイ内の一部のモジュール（以下，基本モジュール）が破損などにより，異なる電気特性を持つモジュール（以下，異種モジュール）と今後交換しなければならない事態の発生が懸念される．異種モジュールには，新規のモジュール以外にも性能は劣るが，安価な中古品が用いられる可能性もありうる．この場合，バイパスダイオードDb が劣化等により正常に動作しないときには，既設のモジュールと交換に用いたモジュールの電気特性の違い，PCS (Power Conditioner System) によるMPPT (Maximum Power Point Tracking) 制御法等によって，アレイ発電量の低下や，モジュールへの逆電圧の発生による発熱，発煙，発火などの恐れがある．これまで著者らは，日本大学にて設置されている9 直列3 並列，計27 枚の4 kWのシステムで，シミュレーションの妥当性を実証試験と比較することで検証するとともに，組み合わせの可能性があるモジュールやPCS について，安全性および出力への影響を検討し，太陽電池モジュールの互換性に関する規格作成のためのデータを提供することを目的に，シミュレーションを実施している．そこで本稿では，同一容量の異なるアレイ構成について，異種モジュールが1 枚混在した場合に，逆電圧が発生する異種モジュールの定格値の範囲を明らかにするとともに，発生する逆電圧の大きさを検討する．また，日射の変動速度を変化させることで，逆電圧が発生しやすい気象条件を検討する．