常時省エネ·非常時準自立型住宅のための蓄電システム開発

摘要

我々の生活に電気は無くてはならないものとなった．しかしながら，東日本大震災以降，電力供給は綱渡りを続け，産業界のみならず住宅においても節電が強いられている．さらに台風等による停電も相次ぎ，蓄電池を求める声はいっそう大きくなっている．このような中，様々な会社から種々の蓄電システムが販売になってきている．しかしながら，それらの多くは交流100V からしか充電できず，蓄電容量も少ないものである．これでは長時間の停電に対応できず，屋根の上に設置された太陽光発電システムを十分に活かすこともできない．夏以降，ハウスメーカーからは太陽光発電と蓄電池を併設し，太陽光発電からも充電可能な住宅も販売されはじめたが，100 万件を超えるとされる既設の太陽光発電設置住宅への対応は置き去りである．一方，住宅における消費エネルギーは，給湯用が30%，暖房用が25%を占めているとされ，非常時であっても低温熱負荷の供給は重要である．これまで，松尾らは太陽エネルギーを最大限活用して，創エネ·省エネを推進するためのシミュレーションやシステム開発を行ってきた．最終的には，これらを蓄電システムと組み合わせ，常時は超省エネ住宅として機能し，非常時には，外部からのエネルギー供給が絶たれようとも最低限の生活が維持できる安心·安全な準自立型住宅を目指している．そこで，筆者らは，既設·新築を問わず設置可能であり，常時は節電（負荷平準化）に寄与し，災害時など系統からの電力供給が停止した場合であっても必要な電力を供給可能な住宅用蓄電システムの開発を行ったので報告する．