AZ61マグネシウム合金薄板の高温域における機械的性質と成形性

摘要

密度が実用金属の中で最も小さいマグネシウム材料は機器類の軽量化対策において注目されている．しかし，常温での成形性に劣るため，薄板材からのプレス加工による成形品は少ない．これは，マグネシウムの結晶構造が最密六方晶であり，常温でのすべりが底面すべりに限定されるためである．473K以上に加熱すると非底面すべり系も活動して変形が容易になる．したがって，プレス加工による実用例の多くは比較的延性の高いAZ31合金板の温間加工によって製造されている．AZ31合金板の高温域における性質は詳しく調べられているが，他のマグネシウム材料の加熱下での性質の報告は少ない．そこで本研究では，展伸材として強度の高いAZ61マグネシウム合金薄板の高温域における引張特性と成形性を明らかにすることを目的とした．