精密加工用ならい制御装置における外乱除去を目的としたテーブル型ゲインのデータ駆動型更新

摘要

ならい制御は，工業製品を精密加工するさまざまな製造現場において用いられる制御機構である．ならい制御では，ならい動作中において加工対象と装置の加工工具との間隔の位置決めを正確に実現·保持することが重要である．本論文で扱う制御装置は図1に示す構造になっており，目標高さとの変位に応じたテーブル形式で制御ゲインを実装している．そのため，調整パラメータの数は一般的なPID制御器に比べ多くなる．パラメータの数が多いということはそれだけ調整や設計に時間がかかるという実用的問題が生じる．また，加工対象が変わっても，短時間かつ低コストでの制御器設計ができると運用上大変有用である．以上のような背景より，本稿では，ならい制御において図1に示すような加工対象の凹凸を既知の出力外乱として，閉ループ系を制御対象の入出力データを用いることで外乱除去性能を向上させる方法を提案する．そこで，ゲインを設計する手法として，テーブル型の制御ゲインを時変ゲインとしてとらえ，実機データを直接用いて更新する手法のFictitious Reference Iterative Tuning（FRIT）を用いる．