睡眠時無呼吸症候群スクリーニングを目的とした睡眠時心拍データへのサポートベクターマシンの適用

摘要

平成24 年に起きた関越自動車道高速バス居眠り運転事故は，45 名もの死傷者を出した痛ましい事故として記憶に新しい．この事故原因として，日中の眠気を引き起こす睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome; SAS) が疑われており，SAS の診断·治療は社会的に重要な課題となっている．SAS は適切な治療により症状が改善される疾患であるため，SAS の早期発見·治療は重要である．SAS は，無呼吸低呼吸指数(apnea hyperpnoea index; AHI) が5-10 以上の睡眠呼吸障害(sleep disorder breathing; SDB) に，昼間の眠気や倦怠感などの自覚症状を伴う病態である．ここでAHI は，睡眠1 時間あたりの無呼吸·低呼吸の回数であり，SAS の重症度の診断に用いられる．無呼吸は10 秒以上換気が停止する状態，低呼吸は呼吸気流が50% 以上低下した状態が10 秒以上継続する状態と定義される．