可変規範モデルを用いた適応制御系の安定性に関する一考察

摘要

適応制御の代表的な方式のひとつであるモデル規範形適応制御は，制御系としての望ましい特性を具現する規範モデルを用意し，プラントの出力が規範モデルの出力に一致しうるようにコントローラ内の可変パラメータが調整される．この規範モデルの設計において安定性や速応性といった制御性能が考慮されるが，適応制御系を設計する際の前提として制御対象には何らかの不確かさが存在すると考えられ，規範モデルを選びかたによってはプラントの出力は規範モデルの出力に追従しきれない．つまり，規範モデルもまた制御対象の特性に応じて設計されるべきものである．本研究ではDC サーボモータの位置制御を例にとり，可変規範モデルを用いて規範モデルと比例ゲインを同時に適応的に調整する制御系を設計し，その安定性について考察する．