ヒートポンプ導入による生産設備における年間エネルギーコスト削減効果に関する一検討～ヒートポンプCOPの環境温度依存性を考慮した評価

摘要

食品工場などの生産設備では従来、燃焼式機器を用いて熱需要を満たしているが、温熱·冷熱両方の需要があるため、エネルギー利用効率の高いヒートポンプによる省エネルギー化が可能であると考えられる。ただし、ヒートポンプのエネルギー変換効率は熱エネルギー供給温度や周囲の環境温度によって大きく変化するため、ヒートポンプ導入効果は適用対象の動作条件や環境条件の年変化を考慮して通年単位で評価することが求められる。本稿では、環境温度をパラメータとしたヒートポンプ機器のCOPモデルを用いて、生産設備における温熱·冷熱供給源としてヒートポンプ機器を導入した場合の年間エネルギーコスト、および年間CO_2排出量の削減効果について評価する。また、各製造工程のエネルギー需要を制約条件として、エネルギーコストもしくはCO_2排出量を最小化する線形計画問題として扱うことで生産設備におけるエネルギー供給システムの最適設計を行う。