ナノバインダを使用した多結晶CBN焼結体(PCBN)の開発

摘要

鉄系素材の仕上げ加工やセミ仕上げ加工には、多結晶CBN焼結体(PCBN)を用いた切削工具を使用することが多い.焼入鋼の加工では、PCBN切削工具は高温(>800°C)で使用されることが多いが、生産性向上の要求が高まるにつれ、より高い耐熱性や耐クレータ摩耗性を備えた、工具寿命の長いPCBN切削工具が求められるようになってきている.PCBNは、バインダ層とCBNの粒径およびそのサイズ分布が性能の鍵となる複合材である.バインダ同士、またバインダとCBN砥粒との結合を強固にすることで、耐摩耗性に優れると共にPCBNに発生するクラックの伝播を抑制することができる.本研究では、ナノTiCNバインダを用いたPCBNにおけるバインダとCBN粒子間の微細構造、結合強度、機械的挙動、断続仕上げ加工時の切削性能などについて検討した結果を述べる.