低GWP冷媒の水平平滑円管上における膜状凝縮およびプール沸騰熱伝達特性

摘要

近年，地球温暖化抑止の観点からR1234ze(E)およびR1234ze(Z)などのHFO系冷媒が低GWP冷媒として注目を集めている．しかしながら，それらの熱伝達特性は，まだ十分に明らかにされていない．そこで，本研究では，R134a，R1234ze(E)およびR1234ze(Z)の水平平滑円管上における凝縮およびプール沸騰熱伝達特性に関する実験的研究を行った．水平平滑円管上における凝縮熱伝達に関しては，Nusselt[1]による理論式が現在最も幅広く認知されているため，本報においてもその式を用いて比較を行った．一方，プール沸騰熱伝達に関しては，現象の複雑さ故に凝縮熱伝達のような理論式は無く，これまで様々な相関式が提案されてきた．Stephan-Abdelsalam[2]は， 回帰分析を用いて冷媒（R12，R21，R22，R113など）に関する相関式を提案している．Ribatskiら[3]は，伝熱面の表面粗さおよびその材質を考慮した冷媒（R11，R12，R22，R123，R134a）に関する相関式を提案している．また，Gorenfloら[4]は，冷媒（R115，R125，R134aなど）に関する相関式を換算圧力の関数として提案している．しかしながら，これらの式がR1234ze(E)およびR1234ze(Z)に適用可能性についての報告は数少ない．本研究では，凝縮熱伝達の結果に関してはNusseltの理論式，また，プール沸騰熱伝達に関してはStephan-Abdelsalamの相関式との比較を行い，新規冷媒であるHFO系冷媒の熱力学的および輸送的特性の健全性を検討した．