微細結晶スラリー化によるLiBr/H_2O 系吸収式ヒートポンプ性能に関する研究

摘要

大幅な炭酸ガス削減を図る上で,吸収式ヒートポンプを低温廃熱でも効率よく駆動するように,更なる高性能技術を開発することは,省エネルギー効果を向上させるためにも重要課題である．本研究者らは,吸収液にゼオライト微粒子を分散させる方式を提案し,LiBr が飽和溶解度以上の過飽和状態になると,結晶塊ではなくゼオライト微粒子を核としたLiBr の微細結晶スラリーが生成することを確認している．この現象を利用することで,通常はヒートポンプの吸収器内で吸収液は水蒸気を吸収してLiBr 濃度が徐々に低下するものの,吸着または結晶化したLiBr が脱着や溶解して,LiBr 濃度低下を抑制する作用が期待される．本研究では,結晶量やゼオライト量に対する粒径の関係について明らかにし,配管詰まりなどのリスク低下について考察を行った．また,吸収式ヒートポンプの吸収器に着目して,LiBr 微細結晶スラリーの水蒸気吸収性能について評価を行った．