フィジカルインタフェースの特徴を活用した個性的で即応的な表現のための母音合成装置

摘要

本研究では，不便の効用を活用して，本人らしい音声を即応的に合成するための母音合成装置を試作した．基本構成はフィジカルインタフェースとフォルマント合成の組合せであり，誰でも簡単に同等のパフォーマンスが出せることよりも，習熟を妨げず，習熟が個性を反映することを重視した．同様の基本構成を持つ先行研究として，ペンタブレットをインタフェースデバイスとした装置が知られている．これに対して本研究は，音声の個人性に着目してTD-PSOLA法を導入した点，汎用の携帯端末上に実装して実験の場を実験室からフィールドへ移した点などが異なるが，特にフィジカルインタフェースの連続性を不便益の視点から評価し直して実験を設定したことに特徴がある．