音の空間情報を用いたAuditory Brain-Computer Interface の基礎的検討

摘要

本研究では,被験者に音刺激を与えP300 を発生させる際に音源の空間情報がどのようにP300 に影響を与えるかを調べた．実験は2 種類行い,1 種類の音刺激を5 箇所の音源の位置で鳴らし,特定の位置からの音刺激のみを数えさせるオドボール課題と,5 種類の音刺激を5 箇所の空間情報で鳴らし,特定の音刺激のみを数えさせるオドボール課題を行なった．音刺激が一種類の場合は,数える対象の位置によってP300 が発生する場合と,発生しない場合があることが分かった．音刺激が5 種類の場合には,数えた対象とそれ以外の対象の間に差は見られたが,刺激によって差の大きさに違いがあることが分かった．展望として,更に細かく音源位置の影響について実験を行う．具体的には,音刺激の種類を2 種類にし,様々な音源位置条件の下でオドボール課題を行い,音源位置の影響や左右耳の音量の差に関する影響を調べ,Auditory BCI に最適な刺激提示法を検討する．また,P300 が発生した波形とそれ以外の波形の識別をSupport Vector Machine によって行い,P300 の識別率を求めることで,音源空間情報が有用であるか否かの更なる検討を行う．